2017年7月9日日曜日

「blue」について

「blue」やっと発売できました。
聴いてくれたみなさん、本当にどうもありがとう!


ここにいたるまで様々な紆余曲折を経てきました。
ので、ちょっとそれについて書いてみたいと思います。

まず、STAnをやめました。
それについては今さらここで書くことは特にないので、ことさらに書きません。
とにかく、やめました。

次にSatisfactionsをやりました。これはとにかく「ギターを弾きたい。ギターに専念してガンガンリフを弾いて暴れまわりたい」という思いが強くなったためです。
実際ガンガンリフを弾いて暴れまわったので、とても楽しかったです。
しかしSatisfactionsも諸事情あり、ストップせざるをえなくなりました。

その後、僕は特にこれといった活動をするわけでもなく、毎日せっせと働いておりました。

もちろん、STAnの後半くらいから、音楽でご飯が食べられるわけがないので普通に働いてはいましたが、この時、人生で初めて、「ただのサラリーマン」的な生活になりました。
僕は10代の頃からそんな「普通な」暮らしは絶対にできないと思っていたので、どんだけ苦痛かと思っていたんですが、、、、

これが意外に満ち足りた毎日でした。

毎日規則正しく起きて、仕事して、夕方帰ってきて、奥さんとご飯食べて喋って。
Jazz聴いて、占いの研究して、プロレス見て、休日は興味のある神社行ったり、おいしそうなご飯屋へ行ったり、時たま有給とって旅行でリフレッシュ!みたいな。

楽しかったし、充実してたし、STAnの時より収入あるし、いわゆる「幸せ」と言っていいかと思います。
ハッキリ言って、このままの人生でも充分幸せだなぁ、と思ってました。


でも、ちょっとした心残りはあったんです。
それは、「発表してない曲がいっぱいあるな・・」です。
家に常にアコギは置いていたので(このアコギに関しては詳しくはインスタに書きました→https://www.instagram.com/p/BWCAtgGFSrg/?taken-by=nsikyg)、暇さえあればポロポロ弾いてたんですが、「それにしても発表してない曲がいっぱいあるな・・これどうしようかね・・・オレが発表しなきゃ永遠に誰にも聴かれないままか・・・それはちょっともったいないかもね・・・」と常々思っていたんです。

それで、毎日の暮らしが安定していたこともあり、ちょっと本腰入れてやってみようか、と思い立ったのです。

まずはMTRを買いました。PCで音楽作るのが主流の昨今、なんか、そんな、皆がやってるようなことやっても面白くないな、と思ったからです。
実際やってみたらMTRでの作業はめちゃ不便でしたがw、不思議と、楽しかったです。
「blue」の音は結構ラフでいびつなとこがあると思いますが、それはエンジニアリング素人の僕がマイクを立て、僕が録音して、僕がミックスしたからです。
最終的にアルバムとして発表する際、全体的なバランスとか調整のためにマスタリングだけピースミュージックの中村さんにお願いしてやってもらったので、なんとか聴けるものにはなってると思います。
中村さん、どうもありがとうございました。
いや〜、今思うと我ながら結構アクロバティックなことをしてしまった・・でも、今回はこの音じゃなきゃダメだったと思います。この音、サウンドは、「blue」には絶対必要なものだったと思います。


また、サウンドと言えば、今回はほぼアコギと歌だけですが(「a song」のみ、キーボードあり。オレの人生初キーボード録音。)、これにも紆余曲折がありました。

最初は打込みのビートとかベースとかエレキも入れてたんです。その形で結構なとこまで仕上げたりもしました。
でも・・・なんか、違う。
上っ面派手になって聴きやすくなった感じがするけど、なんか、違う。
なんか・・面白くない。
もっと、こう、変な感じでいいから、ドキドキするものにしたい。
でも誰かに頼んで演奏してもらいたくはない。
今回は基本全部一人でやろうと決めていたので。
誰かに頼むと、その誰かの気持ちが必ず入ってくる。
バンドとかはその気持ちの集合体で、それが時にすごいうねりを巻き起こして面白くなったりするんだけど、今回に関しては、誰にもオレの気持ちを邪魔してもらいたくなかった。
孤独に黙々と粛々と水が出るまで井戸を掘りたかった。

結果、水、出ました!  \ブシャー/


演奏に関しても明確なヴィジョンがありました。
それは「日々の暮らしとかけ離れたようなウソくさい雰囲気はイヤだ」。
なので、デカイ音とかデカイ声は必要ない。
そんなの、ちょっと大げさすぎる。
それに、家で録音したいから、大きな音は出せない。
結果、おのずと、今回のような演奏スタイルになりました。
自然な感じがしてとても気に入っています。



同時に、作詞に本格的に取り組みました。
僕の未発表曲のほとんどは歌詞がありません。
フニャフニャ歌ってるメロディーだけのものがほとんどです。
メロディーは結構ヒョイヒョイできるんです。
だけど歌詞は昔から本当に時間がかかる。
とにかく納得いくまでに時間がかかるんです。
だから腰が重かったんです。
でも、今回はその一番面倒くさい作業に、真正面からぶつかってみようと決心していました。
というのも、年々「言葉」というものの重要性を痛感せざるをえなくなってきていたからです。
軽くもなく、重くもなく、ウソくさくもなく、普通の、素直な、「言葉」をもっと聞きたいと個人的に強く感じていたからです。
だから何としても「誰のものでもない自分の言葉」を見つけ出して、なおかつ、自分が「これだ!」と思う言葉以外は絶対採用しないと決めてました。
結果、やりきった感があります。

「blue」9曲、歌詞で後悔しているところは一言もないです。



そんなこんなしてるうちに新曲ができてしまいました。
「いつかまた僕らは」と「悪魔」と「Star Death Fool Hanged man」と「Very Good Bye」です。
これらはアルバム制作中に突然できてしまった曲です。
つまり、もともとは入れるつもりはなかった、ってゆーか、存在していなかった曲です。
未発表曲を発表したいという思いから始まった作業でしたが、この時くらいから、ちょっと自分の中で雰囲気が変わってきました。
これはもう、オレのnewアルバムだ、と。
その時くらいまでは「kyg未発表曲集」みたいなノリで作っていたんですが、「いつかまた僕らは」ができた瞬間、完全にギアが入ったのを覚えています。

結果、アルバムから落ちてしまった曲がいっぱいあるんですが、これらもすげーいいんだよな・・・どうしよっかな・・オレが発表しなきゃ永遠に誰にも聴かれないままか・・・それはちょっともったいないかもな・・・

このサイクル、永遠に終わらんわ・・ \(^o^)/




アルバムのラストは表題曲の「blue」です。
この曲は今回のアルバムの中で最も古い曲で、STANの一番最初のアルバム『STAN』に入る予定だった曲です。
たぶんバンドでやるには地味すぎて落とされたんだと思いますw
詞やメロディーや題名は全くその時のまんまなんで、「STANマジヤバイ」とか言ってる裏でこういう曲もあったわけです。
なので、今やっと世に出せて、オレ的には感無量であります。
個人的に、とても好きな曲なので。

あの時、発表できなくて、今、発表できた。
たぶん、そこには何か重要な意味が隠されているような気がします。





アルバム「blue」が、聴いた人の気持ちを何かしら慰撫&鼓舞できたら、それは僕にとって至上の喜びであります。
あなたの人生の中で、自由に鳴り響かせてください。


http://www.tunecore.co.jp/artist/nsikyg